2007年11月20日火曜日

「できるのは勝利報告だけ」 北京へ戦うU22代表

北京五輪への道を開く戦い。奮起する理由が増えた。16日未明に倒れたフル代表のオシム監督に吉報を届けたい。J1千葉時代から薫陶を受けてきたMF水野は「自分たちができることは勝利の報告だけ」と全員の気持ちを代弁、言葉通り、先制点をアシストした。
 オシム監督はU22代表など若年層へ関心を寄せてきた。今回のメンバー21人中10人がオシム監督のもとフル代表を経験。2004年のアテネ五輪予選前まで、前任のジーコ監督がU22代表から招集したのは6人。愛情は数字にも表れている。
 千葉県内で6、7日に行われた合宿にも、オシム監督は連日姿を見せていた。代表監督の視線にとらえられた緊張感は、選手の気持ちを高ぶらせた。だが、その目はまだ開いていない。「元気なら、(ベトナム戦を)見てくれたはず」。フル代表経験者のGK西川は老将への気持ちを込めた。
 昨年のアジア杯予選に19歳で起用されたMF梅崎は「オシムさんから24時間サッカーを考える大切さを学んだ」という。オシム監督がイングランド・プレミアリーグを見終えた直後の深夜に倒れたことは、改めて選手の姿勢を正したはずだ。
 オシム監督はある時は言葉で、ある時は存在で、例外なく何らかのメッセージを選手に残した。フル代表コーチを担っていた反町監督も「学んだことは多い」。
 北京五輪へ。病床の老将に向けた戦い。朗報を届ける決意を胸に“弟子”たちはピッチに飛び出した。(榊輝朗)